赤坂恒明『前近代傍系皇族・皇胤研究』
著者の天皇家傍流に関する論考を収録。
天皇制を周縁・外縁から相対化することを試みる、前近代皇族史研究の基礎となるべき論文集。
天皇については膨大な研究の蓄積があるが、天皇から分岐した傍系皇族・皇胤については先行研究が非常に少ない。本書は、陽成天皇の子孫とする説が有力であった清和源氏、実体不明であった冷泉源氏、六波羅攻めの但馬宮、美濃の南朝軍を率いた尾崎宮、出雲国に足跡を残す大覚寺統の土御門宮(柳原宮)、史上唯一の「戦国期在国皇族領主」の遠江木寺宮、伊勢奉幣の「使王」とその代役「使王代」その他に関する論考を集録し、天皇制を周縁・外縁から相対化することを試みる、前近代皇族史研究の基礎となるべき論文集である。
出版者より
元内モンゴル大学モンゴル歴史学系特聘研究員(教授)で、『ジュチ裔諸政権史の研究』(風間書房、2005年)など、モンゴル裔諸政権の研究で知られる著者の、もう一つの研究の柱である日本傍系皇族に関する、『「王」と呼ばれた皇族』(吉川弘文館、2019年)に続く書籍が刊行されました。是非お手にとっていただければと存じます。
目次
- 序
- 第一章 世ノ所謂清和源氏ハ陽成源氏ニ非サル考―源朝臣経基の出自をめぐつて―
- はじめに
- 一 源経基裔と源氏爵
- 二 源経基の初叙
- 三 天暦七年の王氏爵不正事件と「孫王」経基
- 四 「源頼信告文案」における系譜の作為性
- をはりに
- 補論一 源経基の位階と「六孫王」号
- 第二章 冷泉源氏・花山王氏考─伯家成立前史―
- はじめに
- 一 「冷泉源氏」に関する疑問
- 二 昭登・清仁両親王の諸子
- 三 延信王と康資王
- 四 康資王の諸子
- おわりに
- 第三章 ショウ王考―建武期前後の傍流皇族をめぐって―
- はじめに
- 一 ショウ王の諱、叙任と、その出自に関する先行研究
- 二 尾崎宮の出自と事蹟
- 三 六波羅攻めの上将軍「但馬宮」について
- おわりに
- 第四章 但馬宮令旨考
- はじめに
- 一 但馬宮(四宮)令旨の存在
- 二 『播磨清水寺文書』第五号文書と大塔宮
- 三 『播磨清水寺文書』第五号文書と但馬宮(四宮)・但馬国守護太田氏
- おわりに
- 第五章 前田本『日本帝皇系図』について
- はじめに
- 一 前田本『日本帝皇系図』の内容構成と編纂年代
- 二 前田本『日本帝皇系図』附載「伯」系図
- 三 前田本『日本帝皇系図』における注目すべき記載
- 四 前田本『日本帝皇系図』と邦省親王家(花町宮)
- おわりに
- 第六章 柳原宮考―大覚寺統の土御門宮家―
- はじめに
- 一 日記史料における、柳原宮に関する記載
- 二 出雲国杵築大社領十二郷と柳原宮
- 三 柳原宮邦満とその系譜
- 四 大覚寺統の土御門宮
- 五 出雲の来待の「土御門親王」
- おわりに
- 第七章 遠州木寺宮考
- はじめに
- 一 邦良親王、康仁親王、邦恒王、世平王
- 二 邦康親王とその子孫
- 三 遠江国浜松庄における木寺宮領
- 四 木寺宮の遠江移住と、妙顕寺日広上人
- 五 遠江国敷智郡入野の木寺宮
- 六 『龍雲寺文書』における二点の天正七年文書
- 七 木寺宮の終焉
- おわりに
- 第八章 中世における皇胤の末流「王氏」とその終焉
- はじめに
- 一 中世における王氏の系統
- 二 王氏爵に預かって叙爵された王氏(諸王)の実在性
- 三 『歴名』における王氏(諸王)
- おわりに
- 補論二 江戸時代における花山天皇の玄孫
- 第九章 伊勢奉幣使王代兼字王考
- はじめに
- 一 先行研究に主拠した、兼字王と兵庫寮河越(川越)家の系譜
- 二 『百年以来近代地下諸家伝』と「真継系圖近代写」における河越家と真継家
- 三 兼任王と兼久王
- 四 使王代、兼字王の実体
- おわりに
- 第十章 史料紹介 青木庸行撰『百年以来近代地下諸家伝』
- はじめに
- 一 『百年以来近代地下諸家伝』の概略
- 二 『百年以来近代地下諸家伝』の記載内容一覧
- 三 『百年以来近代地下諸家伝』の成立年と、記載の特徴
- おわりに
- 補論三 刀鍛冶の徒弟であった御落胤、伏見宮貞致親王
- 補論四 越後高田の瑞泉寺に降嫁した鏞宮(政子女王)について
- 結
- あとがき
- 略系図
書誌情報補足
- 著者:赤坂恒明
- ISBNコード:978-4-909868-16-9
- 本体価格:5,300 円+税
- 発売予定日:2025年06月30日