学会情報

中国史史料研究会 会報第22号:試し読み

表紙は頤和園(北京市)。


赤坂恒明「苟且図存(かりそめに存を図らんとせば)―内モンゴル大学における一日本人モンゴル史研究者の教育活動―(九)」

私の実際の赴任時期につきましては、ボヤンデルゲル学部長によりますと、ともかく着任の既成事実さえ作ってしまいさえすれば、私が日本国内で4月から8月上旬まで日本国内に滞在して非常勤講師として出講することは、あくまでも学部内で認めればよいことであり、何ら問題にならない、とのことです。ともかく、ボヤンデルゲル先生には、このように私の諸事情をいろいろと配慮していただきました。

さて、私がボヤンデルゲル先生と初めて面識を得ましたのは、2006年11月28日、先生が愛媛大学に研究滞在のため日本に来られた折に早稲田大学で学術講演を行なわれた時のことです。それ以前から先輩方、特に永井匠さんから話はいろいろと耳にする機会がありましたが、なかなかお会いする機会には恵まれておりませんでした。

その学術講演とは、ボヤンデルゲル先生が2006年に発表したご自身の論文三編についての内容紹介でした。即ち、

  • 《關于嫩科爾沁首領奥巴的“巴圖魯汗”号(ノーン=ホルチン首領オーバの「バートル・ハーン」号について)》,《内蒙古大学学報》(蒙古文)2006-5。
  • 《1628年愛新国貴族与蒙古貴族訂立的一份婚約文書(1628年アイシン国貴族とモンゴル貴族が結んだ一件の婚姻契約文書)》,Quetationes Mongolorum Disputatae 2, Tokyo , 2006,212-222頁。
  • 《達延汗子孫分封考(ダヤン・ハーン子孫分封考)》,Quetationes Mongolorum Disputatae 2, Tokyo , 2006,203-212頁。

です。講演はモンゴル語で行なわれ、日本語に通訳されました。

非常に興味深い内容でしたので、講演内容を筆記しました。せっかくですので、この機会に、その筆録を紹介します。……


亀田俊和「亀田俊和の台湾通信 第23回」

2022年10月29日、私はLGBTQの虹のパレードに参加した。そこで今回は、それについて書こうと思う。

台湾は、性的マイノリティに寛容なことで知られる。アジアで最も早く同性婚が合法化された地域である。台北には西門町という、東京における渋谷か原宿のような繁華街があるが、そこはゲイフレンドリーなお店が軒を並べる街でもある。弊学にもLGBTQの理念に賛同して支援するサークルがある。また、新型コロナウイルス感染症が流行し始めたとき、IT大臣として対策に活躍したオードリー・タン氏はトランスジェンダーであることを公言している。LGBTQの問題をテーマとする映画も多数制作され、ヒットしている。たとえば、1990年3月に起こった学生運動(野百合運動)とからめた『女朋友。男朋友』(2012年)がある。また、『刻在你心底的名字』(2020年)は、興行収入1億台湾ドルを超えた2020年最大のヒット作である。

しかし、一方ではまだ差別や偏見もあると聞く。私も同性婚が合法化されたとき、「奇怪」と非難する声を実際に聞いた。また新型コロナ禍で、ピンク色のマスクをつけて学校でいじめられた男の子がいるので、これまたコロナ対策で活躍した衛生福利部部長(日本の厚生労働大臣に相当)の陳時中氏ら政権の要人が全員ピンク色のマスクをつけて毎日の記者会見に臨んで話題になったこともある。ちなみに私はその頃、そのニュースを知らずにピンクのマスクを毎日つけていた。そして、今でもだいたいピンク色のマスクをしている。……


山田 崇仁「中国古代史研究入門(その5)」

■はじめに

筆者は、中国史関連の授業を複数の大学で担当している。

昨今、各大学ともシラバスに授業の目的やら内容を細かく書く必要があるが、B5サイズの冊子に「受講生と相談する」などと書かれていた、筆者の学生・大学院生の時代と比べて隔世の差がある。もっとも、生来の不精者の筆者には、授業予定を毎回書いておく必要がある今の方がありがたい。

シラバスには、授業予定以外にも、「学生への一言」という項目がある。筆者はそこに「中国史関連の博物館施設での見学をすること」という内容の一文を載せることが多い。

そこで今回は、日本で中国古代史の文化財を見られる博物館施設のうち、殷周青銅器を収蔵・展示している施設をいくつか紹介しよう。

とはいっても、筆者は日本各地の当該施設を全て網羅しているわけではない。そのため極々一部に絞った紹介となるのは、ご寛恕いただきたい。……


  • 中国史史料研究会 会報第22号:試し読み はコメントを受け付けていません
コメントは利用できません。
ページ上部へ戻る